毎回同じ指示を、
書かなくていい状態へ。

「もっと短く」「敬語で」「箇条書きで」。Claudeを使っていると、同じ指示を毎回書いている自分に気づきます。これはカスタム指示とスタイルで固定できます。ここでは2つの機能の使い分け、実際に効いた書き方の型、そして「指示を書いたのに守られない」ときの直し方までを、社内で品質を揃えるという観点から解説します。

カスタム指示とスタイルの違い

確認日:2026年7月/画面はデスクトップ版

似た機能が2つあるので、まず整理します。

  • カスタム指示:設定画面に書いておく、全ての会話に効く指示。「常に日本語で」「私は製造業の経理担当です」といった、自分に固定的なこと。
  • スタイル会話ごとに切り替えられる出力の型。「簡潔に」「説明的に」といった既定のものから選ぶほか、自分で作ることもできます。
  • Projectsのカスタム指示そのプロジェクトの中だけに効く指示。業務ごとの固有ルールはここに書きます(Projectsに社内ナレッジを持たせる)。

使い分けの基準はシンプルです。「いつも変わらないこと」は設定のカスタム指示、「業務によって変わること」はProjects、「その場で切り替えたいこと」はスタイル。

POINT

3か所すべてに書き込む必要はありません。**まず設定のカスタム指示を5行だけ書く。**それで足りない業務が出てきたら、その業務のProjectsに足す。この順番で十分です。

実際に効く書き方の型

長く書けば効く、というものではありません。むしろ逆で、**長い指示ほど守られなくなります。**支援の現場で使っている型は次の4行です。

1行目:自分が誰か

「私は◯◯業の△△担当です」。これだけで、返ってくる例え話や前提が自社寄りになります。最も費用対効果が高い1行です。

2行目:誰に向けた文章か

「文章の読み手は取引先の担当者です」「社内の非エンジニアです」。読み手が決まると、専門用語の扱いが自動的に調整されます。

3行目:どう書くか(具体的な条件で)

「結論を先に書き、理由は3点以内」。「簡潔に」ではなく「3点以内」と数で書いてください。抽象的な形容詞は解釈の幅が広く、ばらつきの原因になります。

4行目:やってほしくないこと

「推測で数字を補完しないでください」「過度にへりくだった表現は使わないでください」。禁止のほうが効きやすいのは、判断の余地が狭いからです。

CAUTION

やりがちな失敗は、思いついた指示を継ぎ足し続けて20行を超えることです。行数が増えると、指示同士が矛盾し始めます(「簡潔に」と「根拠を詳しく」が同居しているなど)。月に一度読み返して、使っていない行を消してください。

そのまま使える例文

社内で配るときの雛形として使ってください。業種名だけ書き換えれば動きます。

一般業務向け(設定のカスタム指示に)

常に日本語で回答してください。技術用語は英語表記のままで構いません。 私は◯◯業の会社に勤めており、社内向けと取引先向けの文書を書くことが多いです。 回答は結論から書き、理由は3点以内にまとめてください。 分からないことは推測で埋めず、「確認が必要」と明記してください。

営業・提案向け(Projectsのカスタム指示に)

読み手は取引先の担当者です。専門用語は避け、必要なら短い言い換えを添えてください。 金額や納期に触れるときは、確定情報か要確認かを必ず区別してください。 過度にへりくだった表現、および誇張した表現は使わないでください。

技術文書・手順書向け

読み手はその作業を初めてやる人です。前提知識を仮定しないでください。 手順は番号付きで、1手順1動作にしてください。 つまずきやすい箇所には注意書きを添えてください。 実行前に確認すべきことがあれば、手順の前にまとめてください。

POINT

文体を伝えたいときは、説明するより実例を見せるほうが確実です。「これまでに送った良い文面」を3〜5本まとめて渡し、「この文体で書いてください」と伝えるのが最短です。形容詞をいくら並べても、実物1本には敵いません。

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守られないときの直し方

「書いたのに守ってくれない」という相談は多いのですが、原因はだいたい3つに絞られます。

  • 指示が長すぎる:まず半分に削ってください。それだけで守られるようになることがよくあります。優先順位の高い項目を上に置くのも有効です。
  • 指示が矛盾している:「簡潔に」と「背景も詳しく説明して」が同居していないか確認します。人間でも両立できない指示は、Claudeでも両立できません。
  • 抽象的すぎる:「丁寧に」「分かりやすく」は解釈の幅が広すぎます。「です・ます調で」「専門用語を使ったら括弧で言い換えを添える」のように、判定できる形に書き直してください。

直すときのコツは、一度に1点だけ変えることです。まとめて直すと、どの変更が効いたのか分からなくなります。

CAUTION

それでも守られない項目がある場合、その指示は設定に置くのではなく、その会話の中で都度伝えるほうが確実です。すべてを設定で解決しようとしないでください。頻度の低い要求まで設定に書き込むと、頻度の高い指示のほうが埋もれます。

社内で品質を揃える

個人の効率化としてはここまでで十分ですが、社内展開を考えるならもう一段あります。

**「良い指示文」は、社内で最も再利用価値の高い資産です。**誰か一人が試行錯誤して見つけた指示文は、そのまま全員の品質を引き上げます。実際の進め方はこうです。

うまくいっている人の指示文を集める

社内で「Claudeをうまく使えている」と評判の人に、設定画面のカスタム指示をそのままコピーして共有してもらいます。これが一番効率がいい方法です。研修を組むより速く効きます。

業務ごとに1つの標準文にまとめる

集めた指示文から、業務ごとに標準となる文面を作ります。営業文書用、技術文書用、議事録用といった単位です。凝る必要はありません。5行程度で十分です。

社内文書として配り、更新担当を決める

個人アカウントの設定を会社側から一括変更することはできないため、文面を配って各自に登録してもらう形になります。Teamプランで共有プロジェクトが使えるなら、そこに置くほうが更新の手間が減ります。

更新担当を1人決めてください。決めないと、半年後には誰も更新していない状態になります。

POINT

社内展開で効くのは、機能の説明会ではなく**「この業務ではこの指示文を貼る」という具体的な運用**です。指示文を1つ配るだけで、使えなかった人が使えるようになることは珍しくありません。定着のさせ方全般はAI導入の進め方ガイドで扱っています。

よくある質問

指示を書いたのに守られないことがあります。
指示が長すぎるか、内容が矛盾しているケースがほとんどです。まず不要な行を削って半分の長さにしてみてください。それでも守られない項目があれば、その1点だけを短く言い切る形に書き直します。「簡潔に」のような抽象的な表現より「3文以内で」のような具体的な条件のほうが確実に効きます。
カスタム指示とProjectsのカスタム指示は何が違いますか?
適用される範囲が違います。設定画面のカスタム指示は全ての会話に効き、Projectsのカスタム指示はそのプロジェクトの中だけに効きます。「常に日本語で」のような全体に関わることは前者、「見積の根拠を必ず添える」のような業務固有のことは後者に書き分けてください。
英語で返ってくるのを止めたいだけなのですが。
表示言語の設定ではなくカスタム指示に書くのが確実です。「常に日本語で回答してください」の一行で十分です。技術用語の英語表記を残したい場合は「技術用語は英語表記のままで構いません」を足しておくと、不自然な直訳を避けられます。
文体の例を見せると本当に伝わりますか?
説明するより速く、確実に伝わります。過去に自分が書いた良い文面を3〜5本渡すのが最も効果的です。「丁寧に」といった形容詞を並べるより、実物を見せるほうが再現されます。
社内全員に同じ設定をさせられますか?
個人アカウントの設定を会社側から一括で変更することはできません。カスタム指示の文面を社内文書として配り、各自に登録してもらう形が現実的です。Teamプランで共有プロジェクトが使える場合は、そこにまとめておくほうが更新の手間が減ります。

設定はできた。
では、どう使うか。

安全に使う準備が整ったら、次は「どの業務に入れるか」です。
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