毎回の説明を、
一度きりにする。

Claudeを使い始めて最初にうんざりするのが、会話のたびに自社の前提を説明し直すことです。「うちは製造業で」「この用語はこういう意味で」「文体はこうしてほしい」。Projectsは、この繰り返しをなくす機能です。ここでは何を置くべきか、逆に置くと精度が落ちるものは何かを、業務ごとの設計例とあわせて解説します。

Projectsが解決する問題

確認日:2026年7月/画面はデスクトップ版

Claudeは会話ごとに記憶がリセットされます。だから毎回こうなります。

「うちは金属加工の会社で、取引先は自動車部品メーカーが中心です。この見積書のフォーマットは……」

これを1日に5回書いていると、それだけで20分が消えます。しかも説明のしかたが毎回微妙に違うので、返ってくる答えの品質も安定しません。

Projectsは、この前提部分をプロジェクトという入れ物に固定しておく機能です。プロジェクトの中で会話を始めれば、登録した前提と資料が最初から効いた状態になります。

POINT

効果は「時間短縮」だけではありません。前提が固定されることで、誰が使っても同じ品質の答えが返るようになります。社内展開を考えるなら、こちらのほうが大きい効果です。

手順:プロジェクトを作る

15分で作れます。ただし最初から完璧にしようとしないことが重要です。

業務の単位でプロジェクトを作る

サイドバーのプロジェクト一覧から新規作成を選びます。名前は「見積書作成」「顧客への提案文」「議事録整理」のように、業務名にしてください。「営業部」のような組織名にすると、中身が雑多になって精度が落ちます。

カスタム指示を書く

そのプロジェクトでClaudeにどう振る舞ってほしいかを書きます。長く書く必要はありません。次の4点で十分です。

役割(あなたは何をする人か)、前提(自社について知っておくべきこと)、文体(どう書くか)、禁止事項(やってほしくないこと)。

繰り返し使う資料だけを登録する

プロジェクトの知識として資料を登録します。毎回渡しているものだけを入れてください。次の章で詳しく書きますが、ここで欲張ると失敗します。

いつもの質問で試す

普段聞いている質問を、前提の説明抜きで投げてみます。意図した答えが返れば成功です。

ずれた点だけ指示に足す

「もう少し短くしてほしかった」「その用語は社内では別の意味」といったずれが出たら、その1点だけカスタム指示に追記します。これを2〜3回繰り返せば実用になります。最初から完成させようとして書き込みすぎると、かえって指示が矛盾して扱いにくくなります。

何を入れて、何を入れないか

ここが成否を分けます。

入れるべきものは、次の条件を満たすものです。

  • 毎回渡しているもの:自社紹介、サービス一覧、価格表、用語集、書式のテンプレート。
  • 変わりにくいもの:会社の方針、品質基準、よく使う定型文。
  • 「これを知らないと答えられない」もの:業界特有の略語、社内でのみ通じる呼び方。

入れないほうがよいものもはっきりしています。

  • 単発でしか使わない資料:その案件だけの仕様書などは、その会話に添付すれば十分です。
  • 頻繁に変わるもの:進行中の案件リストや在庫データを入れると、古い情報を前提に答えるようになります。
  • 関係の薄い資料:「あったほうが賢くなるだろう」と入れた資料に引きずられて、精度が落ちます。
  • 大量の議事録:全部入れても要点が埋もれます。決定事項だけをまとめた1枚を作って入れるほうが効きます。
CAUTION

一番多い失敗は、「共有フォルダの中身をとりあえず全部入れる」です。関係のない資料が混ざると回答がぼやけ、「Projectsは使えない」という結論になります。最初は資料3つから始めてください。足りないと感じたときに足すほうが、確実に良い状態になります。

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業務ごとの設計例

中小企業でよく作られる構成を3つ挙げます。そのまま真似して構いません。

見積書・提案書の作成

カスタム指示:「あなたは当社の営業担当です。見積の根拠を必ず添えてください。金額は断定せず、確認が必要な項目は明示してください。」

入れる資料:価格表、過去の代表的な見積書2〜3件、よく使う但し書きの文例。

効果が出る使い方:ヒアリングメモを貼って「これで見積のたたき台を」と頼む。ゼロから書く時間がなくなります。

顧客向けの文章作成

カスタム指示:「当社の顧客は◯◯業界の担当者です。専門用語は避け、結論を先に書いてください。過度にへりくだった表現は使わないでください。」

入れる資料:これまでに送った良い文面の例を5本ほど。「良い例」を入れるのが最も効きます。説明するより速く文体が伝わります。

効果が出る使い方:箇条書きのメモから、そのまま送れる文面を作らせる。

議事録・打ち合わせの整理

カスタム指示:「決定事項、宿題、次回までの期限の3つに分けて出力してください。発言者名は残してください。憶測で補完しないでください。」

入れる資料:社内の用語集、登場人物と役割の一覧。

効果が出る使い方:録音の書き起こしを貼るだけ。「憶測で補完しない」の一行が効きます。これがないと、聞き取れなかった部分をもっともらしく埋めてしまいます。

POINT

3つの例に共通しているのは、カスタム指示に「やってほしくないこと」を1行入れている点です。「〜してください」より「〜しないでください」のほうが、出力のばらつきを抑える効果が高いことが多くあります。

チームで共有するときの運用

一人で使う分にはここまでで十分です。チームで使うなら、あと3つ決めてください。

  • 誰がプロジェクトを管理するか:カスタム指示や資料を更新する担当を1人決めます。全員が編集できる状態にすると、指示が矛盾して品質が落ちます。
  • 資料の更新タイミング:価格表や規程のように変わるものは、「改定したらプロジェクトも入れ替える」を業務手順に組み込みます。これを決めないと、半年後に古い価格で見積が作られます。
  • 入れてよい情報の線引き:共有プロジェクトは見える範囲が広がります。個人で使うときより一段厳しめに考えてください。前提として、データ学習の設定はこちらの手順で先に確認しておきます。

共有の可否と範囲はプランによって変わります。Teamプランでは組織内での共有の仕組みがあります。個人プランの場合は、カスタム指示と資料一覧を社内文書としてまとめておき、各自が同じものを登録する形が現実的です。手間はかかりますが、品質は揃います。

CAUTION

プロジェクトは作った直後がいちばん充実していて、そのあと放置されがちです。四半期に一度、「まだ使われているか」「資料は最新か」を見るだけで、実用性が保てます。使われていないプロジェクトは消して構いません。数が多いこと自体が、選ぶ手間になります。

よくある質問

プロジェクトはいくつ作るべきですか?
業務の単位で作り、3〜5個から始めるのが扱いやすい数です。多く作りすぎると「どのプロジェクトで聞けばいいか」を毎回考えることになり、かえって手間が増えます。使われていないプロジェクトは統合するか消してください。
資料を入れるほど賢くなりますか?
なりません。関係のない資料が混ざると、そちらに引きずられて精度が下がります。「毎回渡しているもの」だけを入れ、単発で使う資料はその都度添付するほうが良い結果になります。
プロジェクトの資料は自動で最新版に更新されますか?
登録した時点の内容が使われます。元のファイルを更新しても自動では反映されないため、価格表や規程のように変わるものは、更新のタイミングで入れ替える運用を決めておいてください。担当者と頻度を決めておくと放置されません。
個人で作ったプロジェクトを、チームに共有できますか?
共有の可否と範囲はプランによって変わります。Teamプランでは組織内で共有できる仕組みがあります。個人プランの場合は、カスタム指示と資料を社内文書としてまとめておき、各自が同じものを登録する形が現実的です。
機密資料を入れても大丈夫ですか?
入れる前に、まずデータ学習の設定を確認してください。そのうえで「入れてよい情報」の線引きを社内で決めます。技術的には入れられますが、共有プロジェクトの場合は見える範囲が広がる点も考慮が必要です。

設定はできた。
では、どう使うか。

安全に使う準備が整ったら、次は「どの業務に入れるか」です。
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