毎回の注意を、
ファイル1枚に置き換える。

Claude Codeを使い始めて数日で、必ず同じ壁に当たります。「またその書き方をしている」「またそのライブラリを使おうとしている」——毎回同じ注意を書くことになるのです。CLAUDE.mdは、この繰り返しをファイル1枚に置き換える仕組みです。ここでは置き場所と適用範囲、実際に効く書き方、そしてチームで運用するときの注意点を解説します。

CLAUDE.mdとは何か

確認日:2026年7月/Claude Code での利用を前提

CLAUDE.md は、プロジェクトのフォルダに置いておくと Claude Code が自動で読み込む、ただのテキストファイルです。特別な形式はありません。Markdownで書いた普通のメモです。

ここに「このプロジェクトではこうしてほしい」を書いておくと、毎回の会話で説明しなくても効くようになります。

  • コーディング規約:命名規則、使ってよいライブラリ、書いてはいけない書き方。
  • プロジェクトの前提:ディレクトリ構成、ビルドとテストの実行方法、動作環境。
  • 社内固有のルール:レビューの通し方、コミットメッセージの形式、触ってはいけないファイル。
POINT

効果は開発効率だけではありません。新しく入ったメンバーへの説明資料としてもそのまま機能します。「このプロジェクトのルール」が1か所にまとまっている状態は、人間にとっても価値があります。実際、CLAUDE.mdを整備したらオンボーディングが速くなった、という副次効果がよく報告されます。

どこに置くと、どこまで効くか

置き場所によって適用範囲が変わります。ここを理解しておくと、チーム運用の設計が楽になります。

  • プロジェクトのルート:そのプロジェクトで作業するとき全員に効きます。リポジトリにコミットして共有するのが基本です。チーム共通のルールはここ。
  • サブディレクトリ:そのディレクトリ以下の作業で効きます。フロントエンドとバックエンドでルールが違う場合など、部分的な上書きに使えます。
  • ホームディレクトリ側(個人設定):自分のすべての作業に効きます。個人の好みはここに書きます。チームで共有すべきでない内容の置き場です。

分け方の基準はシンプルです。「他の人にも守ってほしいこと」はプロジェクト側、「自分がそうしてほしいだけのこと」は個人側。

CAUTION

よくある失敗は、個人の好みをプロジェクトのCLAUDE.mdに書き込んでしまうことです。「解説を詳しめに出して」のような好みが共有ファイルに入ると、他のメンバーには余計なノイズになります。書く前に一度、「これは他人にも強制すべきことか」と考えてください。

実際に効く書き方

長く書くほど効く、というものではありません。むしろ**長いほど個々のルールは守られにくくなります。**効く書き方には型があります。

判断できる形で書く

悪い例:「読みやすいコードを書いてください」

良い例:「1つの関数は50行以内に収めてください。超える場合は分割してください」

抽象的な形容詞は解釈の幅が広すぎます。守れたかどうかを判定できる形に落としてください。これは人間向けの規約でも同じことです。

禁止事項を明示する

「〜してください」より「〜しないでください」のほうが効きやすい傾向があります。判断の余地が狭いからです。

「新しいライブラリを勝手に追加しないでください。必要な場合はまず提案してください」のように、禁止と、代わりにどうするかをセットで書くと機能します。

理由を1行添える

「日時の処理には◯◯を使ってください(タイムゾーンの扱いで過去に事故があったため)」

理由があるルールは一貫して守られやすくなります。すべてに理由をつける必要はありませんが、守られにくいルールには添えてみてください。

30行から始めて、必要になったら足す

最初から網羅しようとしないこと。「毎回同じ指摘をしたら1行足す」という育て方が、結果的に一番実用的なファイルになります。実際に困ったことだけが書かれている状態が理想です。

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そのまま使える雛形

30行程度の出発点です。自社の内容に置き換えて使ってください。

プロジェクトのルートに置く CLAUDE.md

このプロジェクトについて

社内の受注管理システム。バックエンドは PHP / Laravel、フロントエンドは TypeScript / Vue。

開発コマンド

  • 依存関係のインストール:(自社のコマンドを書く)
  • テスト実行:(自社のコマンドを書く)
  • ビルド:(自社のコマンドを書く)

守ってほしいこと

  • 型宣言は必須。戻り値の型も省略しない。
  • 比較は厳密比較を使う。あいまい比較は使わない。
  • 1つの関数は50行以内。超える場合は分割を提案する。
  • コメントは日本語で書く。自明なコメントは書かない。

やってほしくないこと

  • 新しいライブラリを勝手に追加しない。必要なら先に提案する。
  • 既存のテストを、通すために書き換えない。実装のほうを直す。
  • 依頼されていないリファクタリングをしない。
  • config/ 配下と本番用の設定ファイルは変更しない。

修正するときの手順

  • 変更対象の関数の呼び出し元を先に確認し、影響範囲を把握する。
  • 修正後は関連する既存テストを実行し、退行がないことを確認する。
  • 影響範囲に他の修正が必要な場合は、既存の動作を維持する形で合わせて修正する。
POINT

この雛形で最も効くのは**「やってほしくないこと」の4行**です。特に「依頼されていないリファクタリングをしない」「既存のテストを通すために書き換えない」の2つは、書いておかないと確実に発生します。ここだけでも入れてください。

うまくいかないときの原因

「書いたのに守られない」という相談の原因は、ほぼ3つに絞られます。

  • 長すぎる:100行を超えたあたりから守られない項目が増えます。まず削ってください。詳細な規約は別ファイルに切り出し、CLAUDE.md本体には要約と「詳細は◯◯を参照」だけを書く構成にすると扱いやすくなります。
  • 矛盾している:「積極的に改善提案をして」と「依頼された範囲だけやって」が同居していないか。継ぎ足しで書いていると気づかないうちに矛盾が入ります。
  • 抽象的すぎる:「きれいに書いて」「適切に処理して」は判定できません。数値や具体的な条件に置き換えてください。

直すときは一度に1点だけ変えてください。まとめて直すと、何が効いたのか分からなくなります。

CAUTION

それでも守られない項目がある場合、そのルールはCLAUDE.mdではなく仕組みで担保するほうが確実です。フォーマッタ、リンタ、CIのチェックに落とせるものは、そちらに寄せてください。文章で守らせるより、機械的に弾くほうが強いのは人間相手でも同じです。

チームで運用する

個人で使う分にはここまでで十分ですが、チームで使うなら3つ決めてください。

リポジトリにコミットする

プロジェクトのCLAUDE.mdはリポジトリに入れて全員で共有します。これで、誰が作業しても同じルールが効きます。個人設定側に書くと共有されません。

更新の担当とタイミングを決める

担当を1人決めます。そのうえで実務的に機能するのは、「レビューで同じ指摘を2回したら、CLAUDE.mdに1行足す」というルールです。指摘の繰り返しがそのままルールの整備につながるので、自然に育ちます。

定期的に棚卸しする

四半期に一度、上から読み返してください。使っていないライブラリの話、もう変わった構成の説明などが残っていることがよくあります。古い記述は積極的に消してください。削るほうが、足すより効果が出ます。

POINT

CLAUDE.mdの整備は、**「AIのための作業」ではなく「プロジェクトのルールを言語化する作業」**です。書き出してみると、実は社内で共有されていなかった暗黙のルールがいくつも見つかります。その言語化自体に、AIとは独立した価値があります。

よくある質問

CLAUDE.mdはどれくらいの長さがよいですか?
最初は30行程度から始めてください。長くなるほど個々のルールは守られにくくなります。100行を超えたあたりから「書いたのに守られない」が増えるため、詳細は別ファイルに切り出して、CLAUDE.md本体は要約と参照先だけにする構成が扱いやすくなります。
書いたルールが守られません。
原因はたいてい3つです。長すぎる、ルール同士が矛盾している、抽象的すぎる。まず不要な行を削って半分にしてください。それでも守られない項目は、「なぜそうするのか」を1行添えると効くことがあります。理由があるルールのほうが一貫して守られます。
チーム全員で同じCLAUDE.mdを使うべきですか?
プロジェクト共通のルール(コーディング規約、禁止事項、ディレクトリ構成)はリポジトリに入れて共有します。個人の好み(ログの出し方、応答の細かさ)は各自のホームディレクトリ側に置くのが整理しやすい分け方です。混ぜると更新のたびに揉めます。
既存のコーディング規約のドキュメントをそのまま貼れば済みますか?
おすすめしません。人間向けの規約書は背景説明が多く、そのまま貼ると分量が膨らんで肝心のルールが埋もれます。規約から「守ってほしい判断基準」だけを抜き出して箇条書きにするほうが確実に効きます。
更新は誰がやるべきですか?
担当を1人決めてください。決めないと、気づいたときに各自が追記して矛盾が溜まります。実務では「毎回同じ指摘をした人が、その内容を1行追記する」というルールにすると自然に育ちます。

設定はできた。
では、どう使うか。

安全に使う準備が整ったら、次は「どの業務に入れるか」です。
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