活用ガイド/CLAUDE.md
Claude Codeを使い始めて数日で、必ず同じ壁に当たります。「またその書き方をしている」「またそのライブラリを使おうとしている」——毎回同じ注意を書くことになるのです。CLAUDE.mdは、この繰り返しをファイル1枚に置き換える仕組みです。ここでは置き場所と適用範囲、実際に効く書き方、そしてチームで運用するときの注意点を解説します。
確認日:2026年7月/Claude Code での利用を前提
CLAUDE.md は、プロジェクトのフォルダに置いておくと Claude Code が自動で読み込む、ただのテキストファイルです。特別な形式はありません。Markdownで書いた普通のメモです。
ここに「このプロジェクトではこうしてほしい」を書いておくと、毎回の会話で説明しなくても効くようになります。
効果は開発効率だけではありません。新しく入ったメンバーへの説明資料としてもそのまま機能します。「このプロジェクトのルール」が1か所にまとまっている状態は、人間にとっても価値があります。実際、CLAUDE.mdを整備したらオンボーディングが速くなった、という副次効果がよく報告されます。
置き場所によって適用範囲が変わります。ここを理解しておくと、チーム運用の設計が楽になります。
分け方の基準はシンプルです。「他の人にも守ってほしいこと」はプロジェクト側、「自分がそうしてほしいだけのこと」は個人側。
よくある失敗は、個人の好みをプロジェクトのCLAUDE.mdに書き込んでしまうことです。「解説を詳しめに出して」のような好みが共有ファイルに入ると、他のメンバーには余計なノイズになります。書く前に一度、「これは他人にも強制すべきことか」と考えてください。
長く書くほど効く、というものではありません。むしろ**長いほど個々のルールは守られにくくなります。**効く書き方には型があります。
悪い例:「読みやすいコードを書いてください」
良い例:「1つの関数は50行以内に収めてください。超える場合は分割してください」
抽象的な形容詞は解釈の幅が広すぎます。守れたかどうかを判定できる形に落としてください。これは人間向けの規約でも同じことです。
「〜してください」より「〜しないでください」のほうが効きやすい傾向があります。判断の余地が狭いからです。
「新しいライブラリを勝手に追加しないでください。必要な場合はまず提案してください」のように、禁止と、代わりにどうするかをセットで書くと機能します。
「日時の処理には◯◯を使ってください(タイムゾーンの扱いで過去に事故があったため)」
理由があるルールは一貫して守られやすくなります。すべてに理由をつける必要はありませんが、守られにくいルールには添えてみてください。
最初から網羅しようとしないこと。「毎回同じ指摘をしたら1行足す」という育て方が、結果的に一番実用的なファイルになります。実際に困ったことだけが書かれている状態が理想です。
30行程度の出発点です。自社の内容に置き換えて使ってください。
プロジェクトのルートに置く CLAUDE.md
このプロジェクトについて
社内の受注管理システム。バックエンドは PHP / Laravel、フロントエンドは TypeScript / Vue。
開発コマンド
- 依存関係のインストール:(自社のコマンドを書く)
- テスト実行:(自社のコマンドを書く)
- ビルド:(自社のコマンドを書く)
守ってほしいこと
- 型宣言は必須。戻り値の型も省略しない。
- 比較は厳密比較を使う。あいまい比較は使わない。
- 1つの関数は50行以内。超える場合は分割を提案する。
- コメントは日本語で書く。自明なコメントは書かない。
やってほしくないこと
- 新しいライブラリを勝手に追加しない。必要なら先に提案する。
- 既存のテストを、通すために書き換えない。実装のほうを直す。
- 依頼されていないリファクタリングをしない。
config/配下と本番用の設定ファイルは変更しない。修正するときの手順
- 変更対象の関数の呼び出し元を先に確認し、影響範囲を把握する。
- 修正後は関連する既存テストを実行し、退行がないことを確認する。
- 影響範囲に他の修正が必要な場合は、既存の動作を維持する形で合わせて修正する。
この雛形で最も効くのは**「やってほしくないこと」の4行**です。特に「依頼されていないリファクタリングをしない」「既存のテストを通すために書き換えない」の2つは、書いておかないと確実に発生します。ここだけでも入れてください。
「書いたのに守られない」という相談の原因は、ほぼ3つに絞られます。
直すときは一度に1点だけ変えてください。まとめて直すと、何が効いたのか分からなくなります。
それでも守られない項目がある場合、そのルールはCLAUDE.mdではなく仕組みで担保するほうが確実です。フォーマッタ、リンタ、CIのチェックに落とせるものは、そちらに寄せてください。文章で守らせるより、機械的に弾くほうが強いのは人間相手でも同じです。
個人で使う分にはここまでで十分ですが、チームで使うなら3つ決めてください。
プロジェクトのCLAUDE.mdはリポジトリに入れて全員で共有します。これで、誰が作業しても同じルールが効きます。個人設定側に書くと共有されません。
担当を1人決めます。そのうえで実務的に機能するのは、「レビューで同じ指摘を2回したら、CLAUDE.mdに1行足す」というルールです。指摘の繰り返しがそのままルールの整備につながるので、自然に育ちます。
四半期に一度、上から読み返してください。使っていないライブラリの話、もう変わった構成の説明などが残っていることがよくあります。古い記述は積極的に消してください。削るほうが、足すより効果が出ます。
CLAUDE.mdの整備は、**「AIのための作業」ではなく「プロジェクトのルールを言語化する作業」**です。書き出してみると、実は社内で共有されていなかった暗黙のルールがいくつも見つかります。その言語化自体に、AIとは独立した価値があります。
安全に使う準備が整ったら、次は「どの業務に入れるか」です。
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